インタビュー
今回配信に出演してくださった武田さんにお酒造りや今回ご紹介の「概念」に関するお話を伺いました。
『概念』を変えて生まれた日本酒
今回ご紹介するのは、秀鳳酒造場。1890年山形県山形市北東部、山家(やんべ)の地にて創業した酒蔵だ。現在、10カ国の地域と取り組み、年間で4合瓶を35,000本も輸出している。日本国内で日本酒業界全体の日本酒消費が落ち込む中、海外に活路を見出している5代目武田秀和さん。
お酒造りに携わりつつ、経営を見ながら、日々研究開発しているという。彼は一体、日本酒というものをどういう風に捉えているのか。今回特別に武田さんにインタビューする機会を得ることができた。
秀鳳酒造場とは
地酒蔵として大切にしているこだわりがある。
米:山形県産をはじめとした十数種類の酒米を自家精米し、酒造りに最適な状態に持っていきます。
酵母:山形県で開発された、巾のある味わいを生み出す山形酵母を中心に、目指す酒質に合わせて酵母を選んで使用しております。
風土:東北地方は、冬季は冷涼な気候であり、酒造りに適した環境となります。
低温でじっくりと発酵させることで、香り高いだけではなく、深い味わいの日本酒となります。
その地域に根ざして、お米や酵母も山形県産を活用し、お酒造りをしているのだ。
日本酒を仕事にしようと思ったきっかけは?
もともと酒蔵は家業でやっていました。前職では、通信系の研究開発職でした。そこで開発業務を一通り行い、やれることがある程度できた後、お酒造りを継ぐことになりました。前職が今に活きているなと思うことは度々あります。ものづくりの研究から商品化の流れで関わる人や交渉ごと、そして準備段取り。お酒にしても一連の流れは非常に大事なんですよね。
お酒造りで大切にしていることはありますか?
最終的に消費者に届くまでの管理をちゃんとしたいと思います。そのため、温度管理ができるよう冷蔵庫を13機に増やしました。
お酒造りで大変なことはありますか?
取引先も増え、販路開拓でき、そしてさらに美味しいといわれることは本当に心から嬉しいのですが、思ったようにいかなくて在庫をちょっと残してしまったときにはどう売って行くか、というのは悩むこともありますよ。
今回ご紹介の「概念」を作ろうと思ったきっかけは?
あるとき、「特定名称酒というきっちりと規定された範疇で、何か既存の物とは異なる、新しいものを造りたい」と考えた時に、「醸造アルコール」が浮かびました。昔からアルコール添加は早めに行い、糖分を残すやり方でしたが、特にタイミングが決められている訳ではないので、タイミングを変えて造ってみることにしました。 2020年にやってみて、それが良い形で出来上がったんです。
今後造ってみたいお酒は?
今後作ってみたいお酒は、甘みがありつつもスッキリとした優しく感じる味わいで落ち着いたお酒です。純米大吟醸酒が多い中、ゆっくりと飲める主張しないお酒を造ってみたいと考えています
最後に
物事をまっすぐに捉え、お酒を飲むお客様のために最大限自分に何ができるかを考える。改善できる点は何かを考える。そういうPDCAサイクルを回すことを常に念頭におき、行動されているのだなと感じた。『概念』のお酒の特徴はマイナス33度と甘口であるが、その甘さの中にはガラッと『概念』を変えて新しく誕生するお酒のストーリーが潜んでいるのだ。
常日頃から物事に真摯に向き合っている武田さんだからこそ、出せる味なのだと思った。ぜひ、このストーリーを頭に描きながら、『概念』を飲んでみてほしい。
(ライター/高岡麻彩)
関連レシピの紹介
配信で紹介した「概念」に関連した料理のレシピをご紹介! 飲んでも美味しい・食べても美味しい、日本酒の多様な楽しみ方を提案します。
日本酒ひとまわしレシピ『酒漬けかつおのたたき』
秀鳳酒造場「概念」の丸くふくよかな甘さと、薬味の効いたかつおのたたきを合わせることで、風味に奥行きが出るレシピ。
マリアージュすることでひとつのメニューが完成するように感じていただけると思います。
材料(3~4人分)
- かつおのお刺身:400g
- ねぎ:2~3本
- みょうが:1個
- 大葉:5枚
- おろししょうが:10g
- (A)
- ぽん酢醤油:大さじ2
- お醤油:大さじ1.5
- 日本酒「概念」:小さじ1(小さくひとまわし)
作り方
- ねぎは刻みねぎに、みょうがは千切りにして、材料を準備する。
- ボウルに一口サイズに切ったかつおのお刺身を入れ、(A)の材料で和える
- よく混ざったら、器に大葉を並べ、1で準備しておいた薬味をトッピングする。しょうがをお好みで器にのせる。
かつおのたたきを日本酒漬けにすることで、お魚特有の臭みが取れ、より美味しくいただけますよ。ぜひ試してみてくださいね♪
プロフィール
日本酒きき酒師・料理研究家 まあやにてぃ (髙岡麻彩)
京都生まれ京都育ち
企業コラボレッスンやイベント、店舗メニュー開発・提案などを行う。独自ブランド「おもてなしスイーツ」では出店販売の経験もあり、「見ても食べても癒されるスイーツ」という健康・美容・華やかさで子供から大人まで絶大な人気を博している。
地元京都は日本酒が多く作られている地域。日本酒が大好きでいつの間にか日本酒の世界にどっぷり。『日本酒は飲むサプリメント』を掲げ、その美味しさはもちろん、健康にも美容にも良いことを提唱。
こんな素晴らしいものを、一人でも多くの人に知って欲しい!生活に取り入れて欲しい!との想いから、日本酒を活用した「日本酒ひとまわしレシピ」を開発。独自の五感エッセンスを取り入れたお料理とスイーツのレシピでAmebaブログでは月間50万アクセスを超え、日本酒×スイーツの新しいペアリングを日々探求している。
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