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2021/6/11 19:00-19:30

当主有巣さんが描く酒蔵のこれから

舩坂酒造店
舩坂酒造店
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舩坂酒造店の代表有巣さんがこの先に思い描く酒蔵の姿とは?

見どころ

舩坂酒造店の代表が思い描く「テーマパーク化」に向けて着々と進化を遂げる今の酒蔵のこと、そしてグローバルな市場をにらんだ「コーシャ」認証の取得など、舩坂酒造店が進むこの先の道を語ってもらいます。

出演者

  • 舩坂酒造店 代表取締役社長 有巣弘城
  • CHEERSAKE MC 山本慎吾

インタビュー

世界に愛される日本酒 舩坂酒造『特別純米』

舩坂酒造、代表取締役社長有巣さんに出会ったのは、1年前共通の友人を介してだった。しかし今や、舩坂酒造の日本酒のおいしさと、有巣さんの熱いパッションに大ファンになってしまった。

舩坂酒造とは?

飛騨高山・古い町並みに佇む舩坂酒造は江戸時代末期から続く酒蔵。舩坂酒造店はその前身となる「大文屋」として酒造りをスタートし、年間約500万人が訪れる観光地「飛騨高山」のメインストリート「古い町並」に母屋を構えている。一年前にも見学をさせてもらったのだが、お酒を造り卸すだけでなく、観光土産品とともに直接お客様に枡酒を楽しんでいただけるようにと直売小売店、飛騨牛等の飛騨の味覚と共に日本酒を楽しむ食事処を併設し、「造る」「味わう」「買う」の3つが揃った、他の酒蔵とは一風変わった地酒造り酒屋を営んでいる。

こんな変わった経営をしているのも、この舩坂酒造店は約10年前に地元で旅館などの観光業を行うアリスグループによって事業承継され新たな息吹を入れているからなのだ。

現在の代表取締役社長の有巣弘城さんは10年前から祖父と一緒に経営に参加。元々、日本酒に対しては良いイメージがなかったという有巣さん。というのも大学生の頃空手部で“バケツで飲まされた”経験があったからだ。

経営をスタートして初めての冬(酒造期)、まだまだ日本酒の魅力発信に悩んでいた有巣さんに杜氏ができたての日本酒を飲ませてくれたという。

飲んだ瞬間背筋に電撃が走り、こんなに美味しいのかと驚いたそうだ。「25歳の自分が飲んでこんなに美味しいのであれば、きちんとお伝えすればその美味しさは伝わる。」とその日を境に“これを人生の商売にしよう”と思ったという。

お客様、地域の皆様、そして従業員の皆、舩坂酒造店に関わった多くの方々が笑顔で幸せになれるよう笑倍絆醸(しょうばいはんじょう)の経営理念を掲げ、サブタイトルで「ありがとうをいただこう、ありがとうを伝えよう」という想いで、日々新しいお酒づくりにチャレンジされている。

東海で初!コーシャ認証の日本酒:特別純米

果敢にチャレンジする有巣さんがさらに新しいチャレンジをした。世界で、宗教的に飲めない方のために造ったお酒がある。コーシャ認証とは日本のJASマークのように安心・安全を謳うものだ。このお酒、実は有巣さんがお酒造りに携わって2年目がたったころ、「こんなお酒を造ってほしい」と杜氏に話を持ちかけて造ったお酒だという。
このお酒でコーシャ認証を取得したのには経緯があった。
中国を筆頭に知られる「獺祭」。その獺祭がコーシャ認証を取得していたという。有巣さんは、「何をし始めたんだろう?」とコーシャ認証について学び、調べたところ、飛騨高山には昔からつながる歴史があった。

第二次世界大戦中、リトアニアの在カウナス日本国総領事館に赴任していた杉原千畝のストーリーをご存知だろうか?ナチス・ドイツの迫害によりポーランドなど欧州各地から逃れてきたユダヤ系の難民を救出したことでも知られる千畝だが、その功績により、多くのユダヤ系の旅行者が高山の地を訪れるという。そんな多くの外国旅行者が訪れる観光スポットにもなっている高山だからこそ認証を取得するに至ったのだ。

コロナ禍で実施していること

まだまだ落ち着かないコロナ禍においてしているチャレンジについて聞いてみた。「他の酒蔵さんに見学して、お酒作り見せてもらって、学びにいっているんです」そう答えてくれた有巣さん。お金をかけずともアイデアでやっていることや、リスクなく挑戦できる仕組みを見て学ぶことで自分の中にインプット増やしておいて、アウトプットできるタイミングのためにできることに挑戦しているのだそうだ。

いつも熱いバッションを掲げ、前向きに取り組む有巣さんが造っていくお酒。そこには有巣さんの想いの結晶がたくさん詰まっているのだ。日本酒業界を率いていくのはこういう酒蔵なのだと思う。心から応援したい酒蔵だ。

(ライター/高岡麻彩)